ところ ゆるびの舎
とき  平成20年4月13日
活 動 報 告
噺の会じゅげむ 定期公演
第26回ふれあい寄席
 今日の寄席は、久しぶりに四席での開催です。
 特に短めの噺もないので、各自たっぷりやらせていただこう、ということになりました。案の定、この日は仲入り5分をはさみ、2時間(を1分きる位?)の興行でした。定期の寄席は交代で出演しますので、打上の場で、次の寄席のネタや順番を決めています。
 『愛宕山』をやる剣助さんに、土器(かわらけ)投げの的の説明をしている廣加郎さん。
 廣加郎さんは学生時代、愛宕山に登った経験があり、「実際登ってみると、あの噺、やる気なくなる」そうです。愛宕山は、標高924m(!)古くから比叡山と共に信仰を集めており、山城、丹波の国境にあります。
 ハメを入れる所を確認してます。
 三味線の十七吉さん、太鼓のめじろさんは一週間前、出前寄席で合わせていますが、鉦の浩輔さんは今日が初めてです。非常に体力が要るこの噺、ハメが入る場面は特に動きが多いため、部分練習だけでも演者は汗が流れます。
 受付横のホワイトボードに、桜の絵を描いている小桃さん。
 先週の雨で、近隣の桜は少し散ってしまいましたが、まだまだお花見シーズン。お客様が来られるかどうかが気になりますね。会場最寄りのJR早島駅は、本州と四国を結ぶ瀬戸大橋線にあります。お客様の中には、瀬戸大橋架橋20周年イベントに参加した後来られた、という方もいらっしゃいました。
 お客様が入り始めました。
 初めてお見かけするお客様で、誰の知り合いでもない場合、何をご覧になって(どこから聞いて)来られたのかが、気になります。ポスター掲示や、地元町内会の回覧板、新聞広告、など宣伝方法は色々行ってきましたが、会場のある地域によっても効果は異なります。
 今日は出番のない廣加郎さん。お客様の様子を見て、前説、中説(?)をやっています。
 下座が生であることや、『愛宕山』のハメの話(演者や下座の大変さも!)などお話させていただいています。よくお客様から質問されることもあり、こちら側も「そんな風に落語に対して、思われているんだ〜」と感じる、貴重なひと時です。
 下座の太鼓は、めじろさんと剣助さんが交代でやっています。
 剣助さんは、「今日は高座に集中したいから」、という本人の希望で、一番太鼓だけを叩いてもらっています。めきめきと上達していますが、学業と部活で忙しいため、太鼓は寄席の当日打つだけで、普段はお風呂でイメージトレーニングしているそうです。
 さて開演です。まずは讃岐家かずのこさんによる、『代書』です。
 先月十七吉さんのコラムにも登場した、この噺。彼女が入会前、初めてふれあい寄席に来た時は、まだお客様が六、七人(やる側の人数と変わらない!)で、当時かずのこさんが慰問でよくやっていたこの噺を聴くと、その頃のことを思い出すそうです。
 小学校の桜の風景の描写は、今日も小桃さんと十七吉さんとで、「あそこ、いいよねーっ♪」と言っていました。
 二人共、くつろいでいますね。式部さんが着ている紫の着物は、今日初お目見え!
 みんな“紫”と聞いてどんなド派手な物が来るんだろうと思いきや、とても上品で落ち着いた色でした。あの呉服屋さんの小さな色見本から、悩みぬいた末、最後は店員さんが勧めた色に決めて良かった、と言っていました。
 二番手は、笑皆亭凡々さん。ネタおろしの『壷算』です。
 先月の八角寄席の打上で、「今から一ヶ月で覚えられるかなぁ・・・」と不安そうに言っていました、ご本人の内心はともかく、周囲が特にヒヤっとする所もなく落ち着いた(というより、十分はじけた!)高座でした。落語を覚えるのに、音源から書き起こして覚える人、書かずに覚える人、と分かれますが、凡々さんは書く派、だそうです。
 仲トリ、紫亭式部さんの『禁酒関所』です。
 先日出演されたラジオでは、通勤時、自転車に乗ってネタをくっているため、すれ違う車の人の視線を感じる・・・と言っていました。DJの方が、「私も落語に挑戦してみたくなりました!」とコメントされる程、大半が落語の話でした。長いブランクがあって落語を再開した喜びもあり、打上での一言、「もう、(落語をすることに)ハマってしまってるから」という感覚、わかりますよね〜♪
 そして本日のトリ、芳田家剣助さんの登場です。
 『愛宕山』は六曲(太鼓のみ、が一ヶ所)使用しますが、曲のつなぎの所が演者と合わず、長くしようとして遅めに弾くと唄が間延びしてしまうため、十七吉さんは最後まで苦労していました。三味線は譜がありますが(とは言え、実際はお囃子さんによってかなり異なる)、太鼓や鉦はプロのCDを聴き込んで表現するしかないので、下座の三人はこの一ヶ月余り、相当な量、『愛宕山』を聴いていることでしょう。
 この噺は彼にとって三回目の高座。直前でも「ここの箇所は、鉦は入れないで欲しい」等彼なりのこだわりを随所で示していました。
 接している私達も、彼が中学生であることを忘れてしまいそうですが、マクラは来月、修学旅行で沖縄へ行くという話でした。十年位前までは岡山の中学校の場合、北九州が定番でしたが、空の便の良さも増した現在は、さらに遠方に行けるようになっています。
 彼のあまりの熱演に、終演後のお見送りでは、「頑張ってよ!」と声をかけられる方が多く、記念撮影をして帰られる方もいらっしゃいました。
 実は追い出しの太鼓だけは、CD使用の予定だったのですが、他のメンバーも聴き入ってしまっていたために、落ちの台詞に間に合わず、「お時間―っ」という声だけになってしまいました・・・。
 でも会場いっぱいに、春の景色や彩りが広がった、そんな余韻が残るふれあい寄席となりました。