ところ ゆるびの舎
とき  平成20年8月17日
活 動 報 告
噺の会じゅげむ 定期公演
第28回ふれあい寄席
 会場を開けて下さるとすぐ、エアコンを“最強”にしますが、この時期の準備は皆、汗だくになって行っています。ゆるびの舎の職員の方も、カジュアルなシャツでエコ衣装、でした。
 高座から見るとこんな感じ、です。後方の壁が収納庫になっていて、机一式をしまっています。
 この日は午前中、北京五輪の女子マラソン競技があり、天満屋の中村友梨香選手は13位と健闘。岡山市内の桃太郎スタジアムでは、約千人の観衆が集まり、その走りを見守っていました。
 ハメの確認をしている、凡々さんと十七吉さん。
 演者とお囃子、一対一。しかも、噺の内容に唄が大きく関わる「立ち切れ線香」のハメ。その部分だけ取り出して練習するのは難しいので、三味線が入る→セリフ→唄→間奏とセリフ→唄、とタイミングのみ確認し、本番に臨みます。
 人が少なかったので、受付は凡々さんの奥様。
 開演前は会場外に机を置いていましたが、冷房や下座の音の問題もあり、開演後は会場内で受付させていただきました。
 着付けが終了し、お茶で一服している式部さん(本当は、「ちょっと、一杯!」の方がいいデスねー)。出番までまだ余裕があり、準備で放心状態(!?)のかずのこさん。
 今日は長くなることが予想されたため、前説なしで二時ジャストに開演です。最初に上がった、世間亭廣加郎さんのネタは、『湯屋番』です。
 勘当された若旦那が勤めに出た先は、湯屋。念願の番台に上がり、妄想は果てしなく続きます。
 この日、高校野球は準決勝。それ以外の局は、どこのチャンネルを出しても北京五輪の放送。生中継なのか、録画なのか、よくわかりません。「北島康介選手は、もう五つ位金メダルをとっているような気がしません?」確かに!
 そんな中、ふれあい寄席にお越しいただいたお客様に、感謝です。
 二番手は紫亭式部さん。演題は、『鉄砲勇助』。
 振り込め詐欺、食品産地偽装などはもっての外ですが、日常のちょっとした嘘なら、ついてもいい嘘もありますね。奥様に向かって、「きれいだね。」先生が生徒に、「やれば出来るんだから!」。マクラでも落語に入ってからも、これって式部節?という言い回しが出てきます。
 お次は、讃岐家かずこのさん。ネタおろしですね、『あくびの稽古』です。
 “あくび指南 御あくび稽古所”の師匠によれば、あくびは茶の湯から分かれ出た由緒正しきもの。この状況に相応しいあくびを、ここぞ!という時にすべきなんだそうです。かずのこさんの見事なあくびにつられて、そちらのお客様、あくびしないで下さい・・・。
 中入り後は、吉備家めじろさん。演題は、『狸の賽』です。
 マクラで、考えていた五輪ネタは、今までに言われてしまった・・・と言っていました。今日は剣助さんもいないので、太鼓は、めじろさんの出囃子は廣加郎さん、次の凡々さんの出囃子は少しの間テープを流し、めじろさんが降りてすぐ太鼓を叩く、という忙しさでした。
 最後、本日のトリ、笑皆亭凡々さんが上がります。ネタは『立ち切れ線香』。
 三味線の十七吉さんは出囃子を弾き終えると、やや会場側、演者との呼吸を合わせ易い位置に場所を変えてスタンバイ。最後に入る地歌の「雪」は、出家した女性が、かつて恋仲だった男を待つ心情を唄っています。
 凡々さんがこの難しいネタに挑戦したのは、十七吉さんが「いつか必ずやりましょう」と言い続けていた所へ、浩輔さんが是非聴きたいと言ったのがきっかけに。その浩輔さんは、残念ながら仕事で今日は欠席でした。
 線香の説明を入れなければ落ちがわかりにくいこと、演者自身の感情が高まり過ぎないように・・・とやる度悩みは尽きませんが、その思いはお客様に伝わったようです。死者の霊を迎える時期だけに、会場中が小糸の霊を受け入れているかのような空気の中、打ち出し太鼓が響いたのでした。